宮城まり子さんのこと
たった今、宮城まり子さんの訃報を知りました。
93歳だったそうです。
宮城まり子さんが女優さんだった頃、母と舞台を観に行った事があります。
でも、残念ながら内容は覚えていなくて・・・。
その後、養護施設もみの木学園を開設なさり、多くの子ども達のそれぞれの能力を引き出し、
一緒に生活をなさっておられました。
なかでも、子供たちの絵画作品は、多くの方々に知られています。
あちこちで作品展を開き、グッズを販売。学園の経費に充てておられたようです。
私がねむの木学園と宮城まり子さんのことが気にかかるようになったのは、
先輩が養護施設の子どもの絵画について広く世に広める活動をなさっていたからです。
2年程前、先輩に誘われて静岡・掛川のねむの木学園の運動会に行きました。
駅前から迎えのスクールバスで。結構遠くて田んぼの中を通り、やっと山のふもとにつきました。
もみの木学園の立て札があり、着いたのかしらと思ったのですが、
ここから上り坂で、やっと着きました。周りは竹林やその他の木々がいっぱいです。
でも、とても手入れが行き届いていたのを覚えています。
受け付けを済ませて、好きなところに座ります。
ちゃんと人数分のパイプ椅子が用意されていました。
山の一部を整備し、平らにしたグラウンドで五色のテープが会場の上で
たなびいて いました。
船から船着き場に向かってテープを投げたような感じにしつらえてありました。
まり子さんが車椅子で入ってこられました。
まり子さんのご挨拶の後、学園の子ども達の入場です。
真っ白な上下の体育着でさっそうと行進。足の不自由な子どもは車椅子で。
介助するのは、健常者の子どもであったり、職員の方々です。
職員の方も同じ白の上下です。
一見、学園の子どもなのか、職員なのかわかりません。
というのも、学園の子ども達は、大きくなって、行き場のない子供が大勢います。
そのような子供の為の施設です。
子ども達を見て最初に感じたことは、明るく、清潔感いっぱいです。
きっと、まり子さんや職員の方々の愛情の賜物だと思います。
運動会開始の歌では、まり子さんがタクトを振って指揮をとられていました。
張りのあるお声で、お元気でした。
競技が始まると、座って子ども達の名前を言いながら声援を送っておられました。
というより、舞台のプロジューサーが役者さんに叱咤激励、アドバイスをしている情景に
似ているように感じました。
運動会の進行も演劇を見ているような構成になっていました。
流石です。完全に感服しました。
お昼になりました。職員の方々が、大きなカゴに細長い物を客席まで運び、一人一人に手渡してくださいました。
竹の筒をお弁当箱にし、和紙で包み赤い紐をかけたものです。
中にはお赤飯、煮物等が入っていました。
(食べてから、写真を撮るのを忘れていた事に気づきました。汚くてすみません)
この竹のお弁当箱もバスの運転手さん達が、山の竹を切り、フタになる部分を割り、
怪我をしないようにヤスリをかけて仕上げたものです。
お弁当のお赤飯もオカズも父兄や職員の方々が手作りされたものです。
本当に愛情いっぱいのお昼ご飯でした。
竹のお弁当箱、最近、気になり探しているのですが見つかりません。
これが本部建物です。
ここの山全体が、もみの木学園のものだそうです。
山の中に様々な施設が点在しています。
この建物に子供達の作品が展示されています。
とても可愛いです。小さなお花模様が入り口にも、建物の壁にも。
北欧の雰囲気がします。
残念ながら、この日は全職員が運動会のためのお仕事をしているのでクローズでした。
お庭も手入れが行き届いています。
この建物も子供達の絵画が展示されていました。
すき間からのぞき見をしました。
この他、あちこちに子ども達手作りの手芸品店、パン屋さんなどの小さなお店もあり、
子ども達で販売もしているそうです。
そして、宮城まり子さんのパートナーの吉行淳之介さんの記念館(資料館)も
もちろんありました。お二人でこの学園を作ってこられたのですから。
この山の各施設に行くのに、バス停もあります。時刻表もありました。
バスも数台あり、これもまり子さんが子供達への教育の一つだと思いました。
運動会がお開きになる頃、又々、びっくりのことがありました。
ここで作ったサツマイモで焼き芋がふるまわれました。
新聞に包んで頂いてきました。
本当に、本当に行きどどいた運動会の1日でした。感激でした。
あれから何年も経っていますが、忘れられません。
昨年、転居してからいろいろと断捨離し、身軽になりたく紙類などを裁断し、捨てています。
大事に取って置きたい物の箱の一番上にあるのが、宮城まり子さんのからのお手紙です。
運動会へお誘いのお手紙でした。
なかなか出来ない福祉のことをご自分のお子さんの様に接し、
先行きのことまで考えての行動。頭が下がります。
ほんのちょっとのご縁に感謝いたします。