三岸節子さんのアトリエ
三連休の一日を中野・鷺ノ宮の三岸節子さんのアトリエへ出かけました。
特別公開がこの日、一日だけという事で是非拝見したく、今しかないと思い立ちました。
三岸節子さんには、パリに住んでおられたのですが、東京のあるデパートでの作品展で
一度お目にかかった事があります。作品を拝見している時、急に会場が賑やかになり、
三岸先生が大勢の方に囲まれて入ってこられました。黒いフワッとしたお洋服に
麦わら帽子のようなものを被ったおられました。
アトリエは鷺ノ宮の閑静な住宅地にありました。
道路に面した処には、車が何台も置けるスペースと4、5階建ての白いレトロ、モダンな感じのアパートが建っています。その横に人ひとりが通れる露地。
そこを抜けるとあらっ、えっ、と感動する鮮やかな世界が広っがっていました。
この中庭はフランスの感じを出したくて、先生が庭師さんと黒い小さな石を並べられたそうです。並べ方にもこだわりがあり、縦になるようにしているそうです。
ほんの小さなお庭ですが、板張りの塀を濃い緑にし、手前に木を植えてあります。
塀には絵皿も掛けてありました。
アトリエは北側全面がガラス窓になっていて、この日、暖かな日差しがたっぷり射し込んで
いました。2階部分までの高さの天井と2階の部屋に通じる螺旋階段。
螺旋階段を登り、ここから先生は、制作している作品のチェックをなさっていたそうです。
昭和9年(1934年)に建てられたアトリエは、戦禍にも合い北側の窓ガラスが壊れ、キャンバスで補強したそうです。
二階に上がってみました。
三岸好太郎が設計し、ドイツのバウハウスで勉強した建築家が建て、
国の登録有形文化財になっている建物がちょっと可哀想な状態でした。
維持をしていくのは大変な事だと思いました。
今まで節子先生の娘さんが、管理なさっておられましたが、今月初めに倒れられ、
入院なさっておられるそうです。そして、お孫さん(70才前後の女性)とその息子さんが引き継いでおられます。
来館者はあまりおらず、お孫さんと色々なお話をさせて頂きました。
三岸節子さんが、この家はずうっと残して欲しいと言われていたそうです。
今では、このフランス風の中庭やアトリエをレンタルスペースにし、
雑誌やテレビ番組、アパレル関係のカタログなどの撮影に使われているそうです。
建物から中庭を見た画面
お孫さんが作られたチーズケーキとミルクコーヒーを頂き、帰りました。
何処を取っても素敵な絵になります。
幸せな気分になりました。
うちに帰り、改めて画集を開いて見ました。