美術館をあちこち訪ねて
6月に入っても緊急事態宣言は続いていますが、映画館や美術館等への入場が緩和され、
休館だったあちこちの催しも少し会期を延長して開かれてきました。
しばらく美術館に行けなかったので、どの催しにも興味がつきません。
先週は、最終日に間に合うようにいくつかの展覧会に伺いました。
六本木ミッドタウンにあるサントリー美術館。
ミッドタウンの周辺も建物の中もいつもは大勢の人がいますが、
ガランとしていて華やかなこの場所がさびしい情景になっていました。
ミッドタウン前の歩道
サントリー美術館では、「日本絵画の名品」展が開催されています。(〜6/27 まで)
アメリカ・ミネアポリス美術館が所蔵している日本絵画・工芸品のコレクションが
展示されています。江戸時代の絵画が中心で、日本でもお馴染みの水墨画や大和絵、
華やかな琳派、浮世絵という主要ジャンルをほぼ網羅する顔触れが揃っていました。
龍虎図屏風 山田道安
「誰が袖図屏風図」 上下の屏風は対になっている(六曲一双)
人物はなく、着物が衣桁や床に置かれている。女主人の様子をうかがえます。
(題名と作者名??? 忘れました)
市川鰕蔵の竹村定之進 東洲斎写楽
冨嶽三十六景 山下白雨 葛飾北斎
冨嶽三十六景の凱風快晴(赤富士)もありました。
会場の上の階から下の階を見た情景。
出品されている作家さんの名前が次々とインベーダーゲームのように下りてきます。
サントリー美術館の床は板張りですが、この板はサントリーウイスキーの樽の木を利用していると聞いた事があります。樽を分解して曲がった木へんをローラーで真っ直ぐにしてリメイクしたそうです。
正面の屏風は、伊藤若冲の鶏図押絵貼屏風です。
それにしてもこの度里帰りした作品の中には、教科書などに載っている有名なのがたくさんありました。
江戸から明治へ時代が遷った際の混乱の中、海外へ渡って行ったそうです。
明治維新以降、日本人の日本美術に対しての評価が低くなり、
反対に外国人が良い物を買い求め、大量に流出したそうです。
それに「廃仏毀釈」や公家階級の没落も影響してるようです。
観覧していて、複雑な気持ちになりました。
先日、休館だった静嘉堂文庫も再開されました。
今回の展示で最後ということですが、ほどよい人の数でゆっくり拝見できました。
岩崎家が二代にわたって収集された絵画や工芸品は、それは大事に所蔵されていたというのが
一目で感じられます。
国宝の品が7点もあり、すべてこの機会に披露されています。
楽しみにしていた「曜変天目」にゆっくりと対面しました。
京都の博物館で見た「曜変天目」と同じものでした。
三つのお茶碗は、それぞれ文様が違うそうです。
ただ、置かれた部屋の様子やライトの具合が違うので、印象が少し違っていました。
今回は、本当に間近で見られました。
子供茶碗より少し大きめな感じで、小さいという印象です。
手の中に納まるほどの器の中に大きな宇宙を感じるのです。
徳川三代将軍家光の乳母をしていた春日野局が病に臥せった時、
家光よりこの茶碗に薬湯を入れ賜ったけれども、飲まなかったそうです。
その後、局の里、稲葉家から岩崎家に所有が移ったそうです。
ここのお品にはそれぞれ物語があるようです。
藤原公任撰 倭漢朗詠集 国宝
種類の違う紙に漢字と仮名書きが並んでいる。
岩崎小弥太(卯年)の還暦を祝う、うさぎの冠をかぶった「木彫彩色御所人形」
58体の一つ。 孝子夫人が特注したもの。
頭が大きく御所人形スタイルにつくり、七福神、鯛の曳車、楽隊、輿行列、
餅つきのグループなどで構成されています。
人形たちの全てがうさぎの冠を被り、岩崎家の家紋入りの衣装を纏っています。
宝船に乗る布袋様は恰幅の良かった岩埼小弥太に、輿に乗る弁天様は孝子夫人に
似せて作られたものだそうです。全体の写真がなくて残念です。
宝船の写真がないのが残念です。
とても華やかで可愛らしく、いつまでも見ていたくなるものでした。
会期 6/ 13まででした。
右手が八幡神社、左手が民家園の入り口です。
囲炉裏には家屋保存のために火がくべられています。
座って炊事をする流し
住まい全体に開放感があります。
上野・国立博物館で開催されている「国宝 鳥獣戯画のすべて」展にも出かけました。
ここはぶらりと気が向いた時にという訳にはいかなく、予約制でした。
猿やうさぎ、蛙、鶏などが追いかっけこをしたり、相撲をしている場面はお馴染みです。
「鳥獣戯画」の名場面です。
でも、いつ、誰が、描いたかは不明です。
高山寺の所有ということで、関西に行ったときにでも拝見に伺うつもりでいました。
関西の友人に話すと、「全国をあちこちしてはるから滅多に居はらへんよ」と、
言われました。
この度、レプリカではなく本物が観れるということで楽しみにしていました。
勉強不足だったのですが、全四巻あり、知られているような動物の擬人化されたものばかりではありませんでした。
甲巻 擬人化された動物たちが生き生きと描かれている
乙巻 動物図鑑のような巻。 甲巻のような擬人化されたものはない。
丁巻 人物主体の巻。
いづれも迷いの無い筆で、スピーディーにおおらかな描かれてありました。
ユーモラスな表現で漫画を思い浮かべますが、
単に面白い動物たちを描いただけではないような謎があるらしいです。
こちらの会期は、6月20日までだそうですが、確認してください。
長年の思いが一つ叶いました。