「ピーター・シスの闇と夢」展
練馬区立美術館へ行ってきました。
お天気も良いし、会期も迫っているので出かけました。
長い会期の展覧会ではうっかりするとのがしてしまいます。
ここでの前回企画の絵本「11ぴきのねこ」シリーズで有名な馬場のぼるさんのいろんな角度からの作品展があり、美術館全体が馬場のぼるワールドになったようです。
見逃しました。残念です。
今回もあと数日ということであわてて出かけたました。
風は強いもののお天気が良く、美術館敷地の公園には子供達が駆けっこをしたり、
お昼を食べたりしていました。
今回は「ピーター・シスの闇と夢」展 9月23日 〜 11月14日
絵本作家のシスは1949年、旧チェコスロバキアのプラハに生まれた人です。
旧ソ連下、物心ついたころには絵を描いていたそうなのですが、それも
家の中だけで外では社会主義の指示に従っていたそうです。
自由の国に渡るチャンスがあったのは、アメリカでの1984年ロスアンゼルスの
オリンピックでの開催イベント参加の準備で渡米。
大会間近にソ連や東欧諸国のオリンピックボイコットのあり、シスにも帰国を促されたそうですが、そのままアメリカに残り亡命しました。
その後、シスのアイデンティティーを想起させる作品が作られます。
「THE WALL 鉄のカーテンの向こうに育って」という自伝的絵本もその一つです。
この本は3カ国語に翻訳されたものがありました。
いたる所に赤い旗が。
「 みんな絵がかきたいんだ。かべいっぱいに自分たちの夢をかいた・・・・」
「消されても、消されても、またかいた。」
軍の人が消しても、消しても、姿が見えなくなると子供達が現れて思いっきり描くのです。
近くの建物の窓から誰かが覗いています。
シス展のパンフレットより
「かべ 鉄のカーテンの向こう育って」より。
夢の中で自由を求めてスケッチブックを持ち、自転車で逃げようと
走っていた。
軍の自動車に追いかけられ、投光器のライトまで浴びせられた。
代表的な作品
「三つの金の鍵 魔法のプラハ」より
多くの作品は一見版画のように見えますが、ペンで細かく点描のように描かれています。
N.Yで仕事を得るため、1本の線で描くより点描で描いたほうが手間が掛かり、
認めてもらう事となったそうです。所々、版画やコラージュも入れています。
原画なのでわかります。
作品の内容と技法で、考える事の多い展覧会でした。
外に出ると明るい空、子供たちの元気な声。
ほっとすると共に考えさせられる内容の濃い展覧会でした。
ガラスに描かれてあるのは、鯨の姿をしたマンハッタンです。
真ん中の線は地下鉄だそうです。
階段の両側にトンボが飛んでいます。
万葉集ではトンボは「日本は素晴らしい国」という意味に使われていたそうです。